航空機エンタメシステムの回復需要取り込む、パナソニックの生産効率を倍増させた戦略
パナソニックコネクトは航空機エンターテインメント(IFE)システムの生産能力を2025年までに20年比3倍に引き上げ、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の水準に戻す。航空旅客数の減少を踏まえて能力を絞っていた。単通路のナローボディー機でも航続距離が伸びていることなどから、「5年程度をかけて(IFEの)需要が元に戻る」(樋口泰行社長)と判断。柔軟な生産調整で確実な取り込みを図る。
パナコネクトが主管する米パナソニックアビオニクス(カリフォルニア州)の生産能力を拡張する。社内の別工場との業務分担や、関係先への生産委託で能力拡大につなげ、元の生産能力に戻す計画。増床など工場への新規投資はしない。
同社は2―3年前から、エアラインごとのカスタム仕様が主流だった同システムを、複数製品で汎用的に使えるモジュール構造に変えることに着手。既に生産効率は従来比で倍増している。コロナ禍で需要が縮小している局面も「競合が投資を控える中、グループ全体で投資をし続けた」(樋口パナコネクト社長)事が奏功。ナローボディー機とワイドボディー機両方に対応したモジュール構造の機種「アストローバ」の引き合いが好調という。
国際航空運送協会(IATA)は、2023年に旅客需要が19年の水準の85・5%まで回復し、航空旅客は19年以来初めて40億人を超える42億人になると予測している。
IFEの利用者はシートに設置されたモニターやコントローラーを操作するなどして、映画や音楽、ゲームといったコンテンツを楽しむ。
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日刊工業新聞 2023年3月16日