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マツダが旗艦SUV「CX-60」で適用、パナソニック系と開発した車載ソフト開発の新手法

マツダパナソニックオートモーティブシステムズは15日、自動車のソフトウエア開発で、開発工数を大幅に削減する新たな開発プロセスを確立したと発表した。コンピューターシミュレーション上で実物と同じ挙動を示すように作り込んだ「モデル」を用いる「モデルベース開発(MBD)」向けの共通基盤を構築。マツダの車載ソフト開発に活用した。ソフト設計の手戻りを減らしたことで、開発工数の約2割削減につなげた。

新プロセスはまず、マツダの旗艦スポーツ多目的車(SUV)「CX―60」の情報制御システム開発に適用した。今回の開発では、マツダが要求仕様をモデルで設計・検証し、要求モデルとしてパナオートに提示。パナオートは同モデルを基に自社開発ツールでモデル変換や検証、詳細設計を実施した。

両社で異なる開発ツールを使用していたため、当初は言語のバージョン違いなどによりシミュレーションに不具合が生じていた。そこで、両ツール間で互換性を保証した状態でモデルをやりとりするための共通仕様書を策定し課題を解消。このほか、開発中のモデルを相互接続し設計検証ができるシミュレーション環境も構築した。

MBDでは、文章や図表による仕様書のやりとりではなく、要求仕様をシミュレーション可能な電子データで作成する「モデル」のやりとりを行う。従来の仕様書ではあいまいな記述により相互に解釈の違いなどが生じ、不具合や設計のやり直しが発生していたため工数が増えていた。

引き続き同プロセスの適用範囲を拡大し、開発を効率化する。また今回の共通基盤構築を皮切りに、両社が参画するMBDの普及を目指す組織「MBD推進センター」とも連携して業界全体での標準化も進めたい考え。


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日刊工業新聞 2023年3月16日

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