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東大が開発、1秒間に1000万回計測する赤外分光法が実現すること

東大が開発、1秒間に1000万回計測する赤外分光法が実現すること

上方変換タイムストレッチ赤外分光法(イメージ=東大提供)

東京大学の井手口拓郎准教授らは、毎秒1000万回計測が可能な高速赤外分光法を開発した。赤外スペクトルのスペクトル点数は1000点と従来の30倍に増えた。高速で通過する細胞やガスの燃焼反応などを分析して成分変化などを調べられる。

上方変換タイムストレッチ赤外分光法という手法を開発した。まず赤外領域の超短パルスレーザーを測定したい対象に透過させて吸収させる。試料の分子振動に応じた波長が吸収される。

このパルスレーザーを連続波レーザーと一緒に導波路へ入れて光ファイバーを通過させる。導波路で赤外光から近赤外光に波長が変換され、光ファイバーでパルス光が時間軸方向に広がる。

これを近赤外光センサーで検出する。近赤外光センサーの感度が高く、スペクトル点数を30倍以上に増やせた。スペクトル分解能は約400倍になる。

燃焼のような極めて速い化学反応や、多数の細胞を流すフローサイトメーターのように大量の試料を連続的に計測する用途に提案していく。

日刊工業新聞2023年3月6日

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