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光量子コンピューター向け光源開発、東大とNTTが実現した意義

光量子コンピューター向け光源開発、東大とNTTが実現した意義

量子光源に用いる単一光子検出器(東大提供)

東京大学の高瀬寛助教と古澤明教授、NTTの梅木毅伺グループリーダらは、量子光のパルス波形を制御できる任意波形生成量子光源を開発した。光パルスに含まれる量子ビット同士の悪影響を防ぐ波形を生成できた。量子ビットを連続生成して、毎秒10億―100億個の量子ビットを活用する光量子コンピューターにつながる。

量子光の量子もつれを維持したまま、光の波形を制御する技術を開発した。量子もつれの光を二つに分波し、片方を光フィルターに通してから単一光子検出器で測定する。すると、もう片方の光の波形が量子もつれを介して決まる。この過程で特定の時間領域の光のみを取り出せる。

実験ではタイムビン波形という垂直に立ち上がって垂直に下がる波形を得られた。

さらに二つのタイムビン波形を反転させてつないだバランス型タイムビン波形を生成できた。これらは世界初。同波形はパルス同士が悪影響を及ぼしにくい。

光量子コンピューターでは量子もつれを起こしたパルス光が光ファイバー中を次々に流れ、これを量子計算に利用する。悪影響を防げると時間当たりに大量の量子ビットを詰め込める。10億量子ビットを生成する光源になる。

日刊工業新聞 2022年10月31日

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