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通期予想で下方修正相次ぐ、電子部品業界で今後起こりえる事態

電子部品大手8社の2022年4―12月期連結決算が7日出そろい、4社が当期増益となった。インフレが加速し、中国で再びサプライチェーン(供給網)が混乱する中、電気自動車(EV)の急速な普及などの追い風を製品の出荷増につなげられた企業が増益を確保した。ただ、前年同期比のプラス幅は22年4―9月期より縮小。需要の減速傾向はスマートフォンだけでなくデータセンター(DC)などインフラ分野にも広がり、23年3月期の利益予想を下方修正する企業も相次いだ。

22年4―12月期に当期増益を確保した4社のうち、日本電産とTDKは過去最高を更新した。10―12月はインフレや主要国の金融引き締めが影を落とし、中国では政府が「ゼロコロナ」政策の大幅な緩和にかじを切ったことで感染者が増加した結果、「自社や顧客の工場稼働に影響が生じ、12月は落ち込みが大きかった」(小平哲アルプスアルパイン取締役常務執行役員)。

数少ないプラス材料がEV需要の拡大だ。欧州や中国を中心にEVの普及が想定以上に加速している。TDKの場合、バッテリーからの電気を安定させるフィルムコンデンサーと、高電圧に特化した積層セラミックコンデンサー(MLCC)の製品展開が相乗効果を生み、EV向けに電子部品の販売が増えた。

電子部品大手8社の2022年4―12月期連結決算

ただ23年3月期については、日本電産とTDKを含め6社が当期利益見通しを下方修正した。中華系スマホやパソコンなど民生機器中心だった需要の失速が22年10月以降、他分野にも広がっている。TDKの山西哲司代表取締役専務執行役員はDC投資の減速を背景に「ハードディスクドライブ(HDD)向け磁気ヘッドの需要が想定以上に落ち込んだ」と説明。また、「ガソリン車の生産台数も10月以降、想定より軟化している」という。

各社は設備投資額に占めるスマホ比率の見直しや自社在庫の圧縮などを目指す。TDKは21―23年度に累計7500億円の設備投資を行う計画に変更はないが、「当初6割をスマホ向けも含めた電池向けに振り向ける想定を4割程度に減らし、受動部品やセンサーの投資を増やしている」(斎藤昇社長)。太陽誘電は23年1―3月期のコンデンサー工場稼働率を平均50%前後と前四半期比10―15ポイント落とし、3月末の棚卸資産を22年12月末比で最大80億円減らす(為替影響を除く)。

ただ需要も減速しているため、各社は今後、スマホ向け部品事業の固定費改革や、新事業のM&A(合併・買収)などの対応が必要になる事態もあり得る。経営手腕の巧拙で企業間の業績格差が広がる可能性がある。


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日刊工業新聞 2023年02月08日

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