球の全周に歯車…兼松・山形大が量産目指す「球状歯車」がスゴい
兼松と山形大学工学は球状歯車を共同開発する。製作した試作品をベースに、サービス・協働ロボットの関節用など用途開発から始める。試作品の個別製作にも対応し、段階的に事業化を進めていく。2025年までに量産体制の構築を目指す。さまざまな産業と接点のある商社機能を生かし、産業界のニーズに合った商品開発を実現する。
今回の共同開発で山形大学大学院理工学研究科ロボット分野の多田隈理一郎准教授と研究室の学生による研究成果の実用・事業化を目指す。これまでは樹脂製だったが、強度と耐久性を向上させるため、試作品はアルミ合金製にした。歯車を製造する兼松のパートナー企業が製作している。
風力・太陽光発電などのプラントや半導体、電子部品、食品、医療、化学品など幅広い分野の課題を吸い上げて用途開発を進める。関節の自由度を生かした自然災害などでの作業困難時や狭小空間での使用や、球体内部空間の活用も想定している。
現在は5軸マシニングセンター(MC)で削り出している。特殊な形状であることから、量産工法について同社は「未知の領域」とし、今後さまざまな工法の中から選定する。素材もスチールや非鉄金属、樹脂、持続可能性のあるバイオ素材など潤滑剤を含めて用途に適したものを採用する方針だ。
従来、ロボットの関節を動かす場合、複数の円盤や円柱形状歯車を組み合わせる必要があった。だが、球の全周に歯車を持ち、X、Y、Z軸を自由に回転させられる球状歯車を使うと、自由な動きとともに、部品点数を減らせ、構造がシンプルになるため、軽量・小型化が可能になるという。
日刊工業新聞 2023年02月01日