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スクリューになる全方向移動車輪がスゴい

東北大学の阿部一樹特任助教と渡辺将広助教、多田隈建二郎准教授は、スクリューになる全方向移動車輪を開発した。三つのサブローラーが絡み合うように接続され1本のシャフトで回転する。水上や雪上、不整地と通常の路面を進むことができる。災害対応や屋外調査などのロボットに提案していく。

ドーナツ状の内径と外径に接するヴィラルソー円にサブローラーを配置する。サブローラーの内歯車とシャフトの歯車が噛み合い、1本のシャフトで複数のサブローラーを駆動できる。3枚のサブローラーでスクリューのようなローラーを構成した。ローラー全体を回すとスクリューやパドルのように機能する。

実際に4輪ロボットを組み立て雪上や水上での移動性能を確かめた。地上ではローラーがパドルのように働いて段差や凸凹を乗り越える。雪上や草地のような足を取られやすい環境を移動できた。平らな路面ではローラー全体の回転とサブローラーの回転を組み合わせて全方向に動ける。

水上でも前後左右斜め回転など全方向に移動できた。移動機構を交換せずに多様な地形を進める。一つのローラーに対して二つのモーターで複雑な動きを実現した。今後はサブローラーの角度や大きさなどを調査して体系化する。

災害対応や屋外調査など、人工的に環境を整えられない場面では最適な機構を事前に選べないことが少なくない。災害現場へ最初に投入する機体の走破性が高ければ、後に続く機体は対応しやすい。

日刊工業新聞 2022年06月17日

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