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日本ハムが加工事業で進める商品戦略の“4基軸”とは?

日本ハムが加工事業で進める商品戦略の“4基軸”とは?

加工事業本部を指揮する前田文男取締役常務執行役員

日本ハムは2023年度に加工事業の商品戦略を“四つの基軸”で進める。物流混乱や円安進行に加え、エネルギーや原材料の高騰など食品業界にとっては厳しい事業環境が続く。その中で新製品群も収益力を高めるためアイテム数を22年度の半分に絞り込んだ。新製品群で目指す年間売上高は121億円。加工事業本部長の前田文男取締役常務執行役員は「(新製品で)トップラインを上げていく」と力を込める。(大阪・友広志保)

日本ハムの加工事業は、看板ブランドのウインナー「シャウエッセン」などハムやソーセージ、チルドピザなどをそろえ、食肉事業と並ぶ中核事業。「当社にとって未曽有の経験」(前田本部長)という厳しい外部環境にあって、23年度に26アイテムの新商品を投入する。その基軸は「第4のウインナー導入」「シャウエッセンの食シーンやターゲットの拡大」「中華名菜売り上げ回復」「チルドピザ強化」。テストマーケティングを強化し、アイテム数をあえて絞り込んだ。

「第4のウインナー導入」では赤ウインナーや皮なしウインナー、粗びきウインナーに次ぐ新製品で市場活性化を狙う。ウインナー市場は粗びきウインナーが7割を占め、価格競争で市場全体が伸び悩んでいる。加えて22年はウインナー市場そのものが縮小傾向に入った。そのため04年に発売した豚肉を使った細長い加工食品「モーニングサーブ」の再販を決めた。朝食向けに調理が簡単なのが特徴。長田昌之加工事業本部マーケティング推進部長は「硬直化するハム・ソーセージ売り場に売り込む」と話す。

復活・再販を決めた「モーニングサーブ」

主力商品のシャウエッセンは「エクステンション強化」と銘打ち、ターゲットと食シーンの拡大を図る。北海道日本ハムファイターズの新球場を含む「北海道ボールパークFビレッジ」(北海道北広島市)の3月開業に合わせて、北海道ブランドを前面に打ち出した「シャウエッセン北海道プレミアム」に力を入れる。北海道産豚肉を旭川工場で加工し、産地など生産者情報にこだわる50―70代のシニア層を深掘りする。

中華名菜は販売回復に向けた施策を打つ。22年12月の販売パック数は、前年度に届かなかった。コロナ禍で拡大した内食需要も減少傾向となる中で、スーパー総菜や冷凍食品などとの競争が激化。これに対し、包装のプラスチック使用量削減や味のリニューアルといった施策に加え、カット野菜があれば調理できる新製品を投入する。カット野菜に合わせた具材や味付けとしており、中華名菜で最短の調理時間約3分で完成する点を訴求する。

チルドピザは22年の市場が19年比10%増の約830億円で、今後も拡大を見込む。同社は22年にシェア50・7%とトップにあり、新商品投入でさらに攻勢をかける。小さいサイズのミニピザは朝食や昼食、間食、夜食など使用シーンが幅広いため、日本ハムは新製品「めんたいこチーズ味」の投入などでさらなる拡大を狙う。

日刊工業新聞 2023年01月25日

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