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東レが韓国のPPS樹脂工場の生産能力を倍増する背景事情

東レが韓国のPPS樹脂工場の生産能力を倍増する背景事情

東レのPPS樹脂

東レは韓国のポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂工場の生産能力(年産8600トン)を、2024年度内に2倍超に増強する方針を固めた。 PPS樹脂を日本と韓国の2拠点で生産しているが、電気自動車(EV)の電装化・軽量化用部品の需要増で既存設備では増産余力がなくなっている。 拡張余地のある韓国工場を大幅増強する計画で、日本の東海工場(愛知県東海市、年産1万9000トン)並みの規模に高めるとみられる。 投資額は非公表。

PPSは熱可塑性のスーパーエンジニアリングプラスチック。 耐熱性や機械的強度、耐薬品性が高いのが特徴で電装部品や電子機器部品向けに多く使用される。 特に自動車のEVシフトで軽量化や電装化用部品の需要が拡大し、供給が逼迫(ひっぱく)している。 そこで韓国工場を増強する方針で、23年度に着工し、24年度内の稼働を目指す。

東レは韓国現地法人の東レ尖端素材(ソウル市)を通じて16年に韓国工場(群山市)を稼働させた。 主原料の硫化水素ナトリウムやパラジクロロベンゼンを自製する一貫生産拠点。 樹脂に機能性加工を施す年産3300トンのコンパウンド(混練)設備も併設している。 工場敷地に拡張余地を残しており、ここにPPS樹脂工場棟を増設する見込み。 増強は最大で1万トン規模になるとみられる。

東レはPPSで世界トップクラスのシェアを持つ。 樹脂(モノマー)生産からガラスファイバーなどを加えて機能性を施すコンパウンドまでを手がけており、今後、樹脂生産の増強に合わせてコンパウンド工場の体制強化も進める意向だ。


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日刊工業新聞 2023年1月19日

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