東レが100億円投資で生産能力5割増、「スエード調人工皮革」で狙う需要
東レはスエード調人工皮革「ウルトラスエード」を製造する滋賀事業場(大津市、写真)と岐阜工場(岐阜県神戸町)の年産能力を50%増の計1500万平方メートルに増強する。自動車内装向けの天然皮革の代替需要が拡大し、今後も継続するとみて設備増設を決めた。2024年後半の稼働を予定しており、投資額は約100億円を見込む。
スエード調人工皮革は滋賀事業場の前工程、岐阜工場の後工程を通じて生産している。今回の増強では両工場に50億円ずつを投じる。既存の建屋内に設備をそれぞれ増設する計画だ。22年11月に着工した。 自動車用内装では環境配慮から天然皮革の代替需要があるほか、デザイン性の高い内装と相性が良いためシート材以外に天井材やドアトリム、インパネなどに採用部位が広がり需要増になっている。
東レは1970年に同人工皮革の生産を開始。19年に従前比1・6倍となる年産約1000万平方メートルに増強した。現在はすでにフル稼働状態が続いており、今後も自動車向け需要が安定的に拡大すると判断し、設備を増強する。ただ、同社は今回の設備増強後も早期の段階でフル稼働になると見ている。
日刊工業新聞 2023年01月13日