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「NFT会員券」で文化体験!訪日客取り込みなるか

「NFT会員券」で文化体験!訪日客取り込みなるか

wakonPassのプラチナカード(イメージ)

wakonart(ワコンアート、堺市東区、白江勝行最高経営責任者〈CEO〉)は、NFT(非代替性トークン)を活用した文化体験の観光会員券事業を12月に始める。このデジタル会員券を持っていれば、陶芸や絹織物といった工房の限定イベントへの参加や提携ショップでの割引など特典が受けられる仕組み。会員券は自由に譲渡可能。海外にも広く展開することでインバウンド(訪日外国人)を取り込みつつ、日本の伝統文化への理解と伝統工芸品の需要拡大につなげる。

11月10日に発行するNFT会員券は「wakonPass」。プラチナ、ゴールド、シルバーなど5種類あり、ランクに応じてサービスに差を設ける。1年目は計10万枚を発行し、うち1万枚をツイッター上で無料配布する。残り9万枚は海外も含め有料で順次売り出す。

wakonartでは伝統工芸のメディア事業を手がけ、そのネットワークを生かして刀剣や日本画も含め全国各地の工房や工芸品ショップ、自治体などに提携先を広げる。当初は備前焼の窯元や京都・丹後地域の絹織物工房、京都市内の京友禅の工房など30カ所でサービスを提供。訪日外国人が文化体験の検索や予約がしやすいよう、専用の多言語メディアも立ち上げる。

NFTの会員券としたのは、デジタルデータの唯一性を証明できるため。暗号資産(仮想通貨)で手軽に売買できる利点もある。同社は有効期限1年間の会員券の有料販売により収益を上げ、会員券の譲渡成立時にも譲渡額の3%を手数料として受け取る。

wakonartは2020年設立。伝統工芸士の京都の着物職人が描いた着物デザインをNFTアートとして販売する事業も展開。9月にはNFT関連企業と伝統文化の担い手の橋渡し役となる一般社団法人伝統文化NFT協議会を設立している。

日刊工業新聞 2022年11月09日

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