アパレル・アートの模倣品を見破れ、スタートアップが最先端技術で挑む
アパレルやアートの模倣品被害の課題に応えるため、ベンチャーなどが最先端技術を活用して商品が本物であるか検証できる技術やサービスを打ち出している。たった5秒で真贋(がん)鑑定が可能な人工知能(AI)鑑定や、ブロックチェーン技術を活用した模倣品対策ソリューションだ。リアルとデジタル双方での統合的な解決策で、偽造品の流通やトラブルを防ぐ。(山下絵梨)
メディコム・トイ(東京都渋谷区、赤司竜彦社長)は博報堂プロダクツ(東京都江東区)と共同で、模倣品対策ソリューション「du―al.io(デュアルドットアイオー)」の提供を始めた。近距離無線通信(NFC)技術とNFT(非代替性トークン)技術を組み合わせることで、その商品が本物であるかを企業と消費者が双方で検証することができる。リアルの製品にかざすだけで安全性の高いデータ通信が可能なNFCとブロックチェーン上に記録され、改ざんされないNFTと連携させた。商品に付属するNFCタグを読み取るだけで真贋判定ができ、唯一無二の価値をもつ正規品であることを証明できる。
また、入手した製品の所有情報はギャランティーカードとしてブロックチェーン上で管理できるほか譲渡も可能。コレクション性の高い玩具やアート、模倣品が多く出回る高級アパレルや時計、アクセサリーなど幅広い商材に活用できる。
スニーカーのフリーマーケットアプリケーション「UNSTREET(アンストリート)」上に、商品の購入前にAI画像鑑定で真贋鑑定ができる機能を構築したのは、Newelse(東京都世田谷区、菅谷駿治社長)。真贋判定サービスを提供する超越(東京都渋谷区)と業務提携を行い実現した。
AI画像鑑定では、出品された商品画像を購入希望者が望んだ場合に、AIがデータベースに内蔵されている膨大な正規品データと偽造品データとの照合を行い、約5秒で鑑定を行う。さらに取引開始前には鑑定士による目視でのチェックも行い、ダブルで真贋鑑定を行う。
今まで鑑定は、鑑定士個々人のスキルや知識が必要で、さまざまな工場で大量に作製されているスニーカーでは、製造時の個体差が存在し、偽物を本物と鑑定してしまうこともあった。AI画像鑑定を用いることで、Newelseは「鑑定者個人のスキルに依存せず、大量の取引があっても高い鑑定技術力を生かし、安心して売買を行っていただける」と期待を込める。