ルノーがEV・ソフト新会社、日産、三菱自の動向は?
仏ルノーは8日、五つの重点事業への再編を柱とする経営計画を発表した。電気自動車(EV)とソフトウエアの新会社を設立し、2023年末にも株式を公開してEVシフトを加速する。エンジン車やハイブリッド車(HV)向けの駆動システムでは、中国の浙江吉利控股集団と合弁会社を設立。内燃機関車事業を効率化する。一連の取り組みで22年に5%以上を見込む売上高営業利益率を、25年に8%以上、30年に10%以上に高める。
新会社「アンペア」ではソフトウエアを更新し、車を販売した後でも性能を高められるソフトウエア定義型車両(SDV)の技術を搭載したEVを開発。31年に約100万台の生産を目指す。26年にSDV技術確立のため米クアルコムや米グーグルと連携。クアルコムはグループで新会社に出資し、車載システムを共同開発する。
同新会社には連合を組む日産自動車と三菱自動車にも参画を要請。ルノー幹部は「日産は出資の可能性を検討している。連合がアンペアに規模をもたらすことは確かなこと」と述べるにとどめた。
駆動システム事業ではルノーが50%、浙江吉利控股集団と傘下の吉利汽車が50%出資予定の合弁会社を23年にも設立。エンジンやHVシステムといった駆動装置の開発や製造を担う世界的なサプライヤーを目指す。供給先には3社連合やスウェーデンのボルボ・カーなどが含まれる。
日産社長、仏ルノーのEV新会社「出資検討」
日産自動車の内田誠社長は9日の決算会見で、連合を組む仏ルノーが設立する電気自動車(EV)の新会社について「日産にとってどのようなメリットをもたらすのか、どのように参画するべきなのか検討している。今後の議論を踏まえ、新会社への出資を検討していく」と述べた。
両社は資本関係を含めアライアンス(連携)の枠組みの見直しも進めている。内田社長は「競争力をどうアライアンスの中でつけていけるのか。それが個社の成長にどうつながるのかを真剣に議論している」とした。
一方、ルノーはエンジン車やハイブリッド車(HV)向けの駆動システム事業で、中国の浙江吉利控股集団と合弁会社の設立も予定している。エンジンなどに関する技術の第三者への提供をめぐり、日産が知的財産の流出を懸念しているとの報道もある。内田社長は知財を「どういう形で扱っていくかというのは普通のビジネスをやっていく上で当然の話だ」とし、両社の間で「知財に関する見解が違うとかそういったことは私の理解している限りにおいてはない」と述べた。