泥・ぬかるみで脚抜きやすく 津山高専、空気吐出ブーツ開発
津山工業高等専門学校の細谷和範教授らは、泥やぬかるみにはまった際に脚を抜きやすくする空気吐出ブーツを開発した。足の裏から空気を吹いてはまった足の裏や側面に空気層を作る。子供用の長靴での実験では引き抜きに必要な力が11%ほど低減された。シンプルな方法で歩行性能を改善できる可能性がある。
多脚ロボットや農作業者が水田やぬかるみを歩く際に泥からの脚の引き抜きを軽減する。引き抜きの際には足の裏に負圧が発生し、流動性の低い泥だと大気圧相当の力がかかる。そこで足の裏から空気を吐出して負圧の発生を抑制する。
研究室の実験では泥を模擬したゲルに円柱部品や小児用の長靴を沈めて引き抜きに必要な力の低減量を計測した。するとロボットの脚を模した円柱部品では16%の低減、小児用長靴では11%の低減効果があった。ただ引き抜きと吐出のタイミングに左右される。
空気入れ用のポンプと長靴を接続して水田で歩行を試験したところ泥の吸い付きを低減する効果があった。吐出空気量は数百ミリリットルで十分だと考えられる。
農作業では脇に空気ポンプを備えれば脚がはまったタイミングで空気を吐出できる。ロボットに応用する際はタイミングに左右されないように常に吐出する方法も検討する。
日刊工業新聞 2022年06月09日