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パンやケーキの見た目と味を印刷で再現。「味覚メディア」が面白い

明治大が開発

明治大学先端メディアサイエンス学科の宮下芳明教授らは、フードプリンターと味ディスプレーを組み合わせた味覚メディアシステムを開発した。パンやビスケットなどに見た目と味を印刷して提供する。インターネットや通信販売などのピザやケーキなどの味を実際に確かめて選べるようになる。映像や音楽のように味がコンテンツとして流通する。

10種の味や香りをストックし、配合を調整して噴霧する味提示装置と食品のイメージ映像やゲームなどを表示するディスプレー、可食インクでパンなどに料理を印刷するフードプリンターを組み合わせて味を提供する。

例えば食パンにケーキの見た目を印刷してケーキ味に整えて提供することが可能。塩味や酸味、甘味などの5種の味とアルコールの香り、痛覚である辛味など、味の基本要素を配合して多彩な味を再現する。人間が味覚として感じられる限界の10倍濃度の原液を薄めて噴霧するため、原理上はほとんどの味を再現できる。

従来は画面に表示される映像を使い捨てフィルム越しに舌で舐めていたが、実際に食べられる食品に見た目と味を付加することで自然な食事体験として味を提示できるようになった。

味をダウンロードして付与できる調理器具として家庭の台所に届ける実用化を模索している。例えば通販番組などでは実際の味を伝えることが難しく、試食した人間がおいしがる様子など間接的な情報しか提供されてこなかった。食感などの再現性は限定されるが、印象ではなく実際の味で食材を選べるようになる。

日刊工業新聞2021年12月16日

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