神戸高専、垂直壁上り下りする四脚ロボット 単独で精密測量可能
神戸市立工業高等専門学校の浜田翼専攻科生と原俊哉専攻科生、清水俊彦准教授らは、垂直な壁を上り下りする四脚ロボットを開発した。足の先に吸引グリッパーを搭載した。足先が壁に吸い付き、壁の途中で止まれる。本体にコンプレッサーや電池を積んだため単独で歩き回れる。ビルやダムなどの壁面を降りて地面へと移動しながら精密測量する用途に提案していく。
四脚ロボの足に吸引グリッパー、胴体にコンプレッサーなどを搭載し、単体で地面を歩き回れるようにした。可搬重量は3キログラム。高性能センサー「LiDAR(ライダー)」などを積んで壁面に取り付き、止まった状態で精密に計測できる。
壁面を動く際はロープでつって自重を補償する必要がある。ビルの屋上などから壁面を移動して計測し、そのまま地上を歩いて連続的な測量データを集めるなどの使い方を想定する。宙づりでなく、壁に固定できるため打音検査などの反力が発生する作業に向く。
現在は壁移動の基本原理を実証した段階。今後、壁から床や天井から壁などの接続部に対応させる。天井と壁、床の移動では壁が最も難度が高かった。吸引グリッパーの吸い付き方向と直交する向きに体重がかかるため、吸引グリッパーが剥がれやすい。壁が移動できれば天井はやさしいと考えられる。
従来も壁に張り付くロボットは開発されてきたが、地面の走破性が低かった。命綱のみで壁面と地面を移動できると適用範囲が広がる。災害現場などの人が近づけないエリアに上方から投入し、測量ロボが計測しながら安全地帯へ帰還するような運用が可能になる。
日刊工業新聞 2022年03月29日