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微生物1細胞のゲノム解析、理研が要素技術を開発した意義

微生物1細胞のゲノム解析、理研が要素技術を開発した意義

作製した微小カプセルの概要図(左)と顕微鏡写真。顕微鏡写真の中央に映る点は大腸菌(理研提供)

理化学研究所の山形豊チームリーダーらは、微生物の1細胞の全遺伝情報(ゲノム)を解析するための要素技術を開発した。内部が液状で外側が寒天に覆われた1兆分の1リットルスケールの微小カプセルを作製。カプセル内部に閉じ込めたヒトの腸内細菌などのデオキシリボ核酸(DNA)を酵素で増幅し解析に必要な高品質のゲノム情報が得られた。生物科学や医療の分野への貢献が期待される。

研究手法に利用した試薬をキットにし、製品化も視野に入れる。東京工業大学との共同研究。成果は18日、電子版科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。

作製した微小カプセルのサイズは直径数十マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。大腸菌やヒトの腸内細菌など微生物試料をカプセルに入れ、内部で酵素反応によりゲノムDNAを増幅。その後、次世代シーケンサーでゲノムDNAを調べた。従来法に比べ、各微生物で均一なゲノムDNAが得られることが分かった。

地上にはさまざまな微生物が存在しているが、多くの微生物は培養が難しく、生態や機能はあまり知られていない。そこで1個の微生物の細胞を対象とする「1細胞ゲノム解析」で高精度のゲノム情報を得て、微生物の機能を解明することが期待されている。だが微量のゲノムDNAを解析に必要な量まで増幅する作業が必要で、均一な増幅が難しいという課題があった。

日刊工業新聞2022年10月19日

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