ニュースイッチ

早稲田大が画像化に成功、「雷雲の内部構造」の姿

早稲田大が画像化に成功、「雷雲の内部構造」の姿

コンプトンカメラで撮影したガンマ線画像の時間変化。明るいスポットである領域1と領域2が現れ、消えていく様子が分かる(早大提供)

早稲田大学の片岡淳教授らは、雷雲内部の構造の画像化に成功した。放射線の一種である「ガンマ線」を可視化できる高視野で高感度のカメラを開発。2021年冬に日本海の山岳部で観測したところ、雷によって雲から生じる強いガンマ線を捉え画像化できた。雷雲の構造や動きなどの解明につながると期待される。理化学研究所大阪大学との共同研究。成果は29日、米科学誌電子版に掲載された。

新潟県十日町市にある日本海沿岸から25キロメートル内陸の標高410メートルの場所にガンマ線可視化装置「コンプトンカメラ」を設置し、雷雲を観測。22年1月14日に雷雲に関わる2回のガンマ線の現象を検出した。1回目は6時13分から4分間、2回目は11時51分から4分間、放射線検出器でガンマ線強度の増大を検出した。さらにコンプトンカメラでガンマ線画像の時間変化を計測し、ガンマ線の現象が起きた際に明るい場所が現れ消えていく様子を捉えた。

身近な自然現象である雷は近年、雲の中の強い電場で電子が加速しX線やガンマ線を放出することが明らかになってきた。だが雲の「どこで」「どのように」高いエネルギーを持つガンマ線を作り放出されるかは分かっていない。

日刊工業新聞2022年9月30日

編集部のおすすめ