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貿易赤字11兆円、過去最大を更新した背景

財務省が発表した2022年度上期(4―9月期)の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は11兆75億円の赤字となった。原粗油など資源価格の高騰や円安の影響で輸入額が膨らみ、赤字幅は年度の半期として過去最大を更新した。赤字は3期連続。輸出額、輸入額ともに過去最大となった。

22年度上期の輸出額は前年同期比19・6%増の49兆5763億円と、4期連続で増加した。米国向けの自動車や豪州向けの軽油などの輸出が伸びた。

輸入額は同44・5%増の60兆5838億円となり、3期連続の増加だった。サウジアラビアからの原粗油や豪州からの石炭、液化天然ガス(LNG)などの輸入が増加した。

地域別では対米国の貿易収支が同8・4%増の3兆1601億円の黒字で、2期ぶりの増加だった。米国向け輸出は同22・8%増の9兆1066億円と、3期連続の増加となった。米国からの輸入は同32・1%増の5兆9466億円となり、3期連続で増加した。自動車や建設用・鉱山用機械などの輸出が増えた。輸入は医薬品やLNG、液化石油ガス(LPG)などが増加した。

対中国の貿易収支は2兆8360億円の赤字で、赤字幅は2期連続で拡大した。中国向け輸出は同7・4%増の9兆7105億円で、5期連続の増加となった。中国からの輸入は同25・1%増の12兆5465億円となり、4期連続で増加した。プロジェクターや自動車、半導体電子部品などの輸出が増加。衣類やスマートフォン、パソコンなどの輸入が増えた。

また、同日発表した9月の貿易収支は2兆940億円の赤字で、14カ月連続の赤字となった。輸出額は前年同月比28・9%増の8兆8187億円と19カ月連続で増加した。輸入額は同45・9%増の10兆9126億円と、20カ月連続の増加だった。輸出額、輸入額ともに過去最大を更新した。

日刊工業新聞2022年10月21日

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