“ウッドショック”の二の舞か、バイオマス発電燃料「木質ペレット」輸入急増で懸念

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木質ペレット

バイオマス発電の燃料となる木質ペレット(固形燃料)の輸入が急増している。2021年は前年比53・7%増の312万トンが輸入され、国内のバイオマス発電所で使われた。大型発電所の建設ラッシュが控えており、今後も増える見通し。国内に豊富な森林資源がありながら海外に燃料を依存する構図に、木材価格が跳ね上がった“ウッドショック”の二の舞を警戒する声が出ている。

木質ペレットは輸入額も増加した。財務省貿易統計によると、21年の輸入額は同67・9%増の617億円。海外からの輸入ではなく、国内産の木材を利用していたら、同額が国内の各地域に支払われた計算になる。

大型の発電所になると国内の供給体制では燃料の木材を賄えず、海外調達に頼っている。今後も出力5万キロワット以上の発電所の新設が続くため、輸入が増えそうだ。

足元では国際情勢によってエネルギー価格が高騰し、資源を海外に依存するリスクが浮き彫りとなっている。バイオマス発電も燃料を海外に頼ると価格変動の影響を受ける恐れがある。現地の規制などで突如、輸入できない事態になれば操業にも支障が出る。

また、長距離輸送で化石燃料を消費するため、輸入木質ペレットの温室効果ガス排出削減効果に疑問が持たれている。そこで経済産業省は22年度、再生可能エネルギーで発電した電気の固定価格買い取り制度(FIT)における認定基準を見直した。

30年時点で、燃料の輸送も含んだ排出量が火力発電よりも70%少ないバイオマス発電しか認定しない。

バイオマス発電が温暖化対策に貢献するために、林業の振興も含めた国産燃料の供給網の整備が必要だ。

国内供給体制弱体化に要因/自民党木質バイオマス・竹資源活用議員連盟事務局長(環境副大臣) 務台俊介氏

バイオマス発電の燃料輸入問題に警鐘を鳴らしてきた自民党木質バイオマス・竹資源活用議員連盟の務台俊介事務局長(環境副大臣)に問題点などを聞いた。(編集委員・松木喬)

―燃料の輸入増加をどう見ていますか。
 「再生エネの利点は国内資源を活用できること。にもかかわらず国内資源を放置して海外に頼るのは本末転倒だ。木材価格が高騰すれば、第2のウッドショックになる」

自民党木質バイオマス・竹資源活用議員連盟事務局長(環境副大臣) 務台俊介氏

―発電事業者も課題を認識していると思います。
 「発電事業者を責められない。なぜなら、国内の木材供給体制が弱体化している。これは政府の政策の顛末(てんまつ)だ。地方に戻りたい若者が増えており、再生エネ事業は雇用の受け皿になる。地域資源の活用が地元振興につながる」

―脱炭素化にも貢献します。
 「地方に水素(燃料電池)列車を走らせてはどうか。地域に豊富なバイオマス資源を使って水素を製造し、その水素を列車の燃料にする。地方の非電化路線はディーゼル燃料で走行するため、二酸化炭素(CO2)を排出する。水素列車なら線路をそのまま使え、排出をゼロにできる」

―バイオマス発電は地域密着型が望まれそうです。
 「木質ペレットは長距離輸送でCO2を排出する。そうした負の面を知っていながら事業を進めると、いずれ事業者のリスクになる。今の時代、金儲けだけの事業は許されない。正しいバイオマスを考えてほしい」

日刊工業新聞2022年6月16日

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