研究開発に「懸賞金」、経産省・NEDOが本格導入する狙い
成果報酬で革新技術
経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2023年度から研究開発事業に懸賞金制度を本格導入する。参加者がテーマごとにコンテスト形式で研究開発を競い、成果を上げた上位者に賞金を支払う。従来は公募で採択した企業などのプロジェクトに対し、開発費など経費を支払うのが主流だった。研究開発の過程ではなく、成果に報酬を支払う仕組みを新たに取り入れ、イノベーションの創出を後押しする。
懸賞金制度の対象にする研究開発テーマや評価基準、賞金額など制度の詳細は今後詰める。本格導入に先駆け、NEDOは22年度から懸賞金制度を取り入れた研究開発事業を試行的に開始。同事業で得られた知見も制度設計の参考にする。
国の研究開発事業は研究開発テーマや目標を提示して企業や大学などからプロジェクトを募り、採択したプロジェクトにかかる経費の一定額を支払うのが主流。これに対して、懸賞金制度は研究開発の成果に対して報酬を支払うのが特徴だ。
同制度の導入で大企業だけでなくスタートアップ、中小企業など優れた技術・アイデアを持つ幅広いプレーヤーが参加し、競い合う状況を作り、イノベーションを促したい考え。優れた知見を持ちながらも知名度や実績がなく、埋もれていた企業を発掘する効果も期待する。
研究開発分野における懸賞金制度は米国が先行する。政府や民間企業、財団などがコンテストを主催し、宇宙、医療、ITなどの分野で有力な技術・サービスの発掘につながっている。
日刊工業新聞2022年10月14日