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EV販売が3倍、けん引した二つの軽自動車

EV販売が3倍、けん引した二つの軽自動車

日産の「サクラ」と三菱自動車の「eKクロスEV」

日本で電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の販売が伸びている。2022年度上期(4―9月期)の販売台数はEVが前年同期比3・0倍の約3万300台、PHVが同93・9%増の約2万200台だった。日産自動車と三菱自動車が6月に発売した軽EVの販売が両社合計で約1万5600台と、全EVの5割以上を占めた。11月以降もEVやPHV向けの補助金が続く見込みで、好調な販売を下支えしそうだ。

日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)によると、22年度上期のEV販売のうち軽は同63・9倍の約1万6300台、登録車は同43・5%増の約1万4000台だった。軽EVでは日産の「サクラ」が約1万2900台、三菱自の「eKクロスEV」が約2600台と全体をけん引した。登録車のEV販売では、日産が同73・0%増の約7900台と全体の5割以上を占めている。

上期のPHV販売は三菱自が同4・5倍の約1万3200台と、全PHV販売の6割以上を占めた。約9年ぶりに全面改良して21年12月に投入した「アウトランダー」のPHVモデルは、同18・2倍の約1万700台と販売を押し上げた。

経済産業省は3月末から電動車購入時の補助金を、EVは従来の40万円から最大85万円、軽EVやPHVは約20万円から同55万円にそれぞれ増額し、好調な販売を支えた。ただ、想定を上回るペースで補助金の予算消化が進展。経産省は10月下旬にも申請の受け付けを終了する見通しを示しているが、11月以降も補助金を受けられるよう、22年度第2次補正予算に盛り込みたい考え。

三菱自の白河暁執行役員は「軽EVは補助金がなくなると敷居が高くなり効果は絶大」と指摘。一方、アウトランダーは500万円前後と高めの価格帯もあり「欧州の高級車メーカーのPHVと乗り比べた上で買っていただくなど車の良さで選ばれている」(同執行役員)とした。

また、白河執行役員は製造から廃棄まで車のライフサイクル全体の二酸化炭素(CO2)排出量では、日本の場合35年まで軽はEV、中型以上の車はPHVが最小になるとし「40年くらいまでPHVの役割がある」との認識を示した。


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日刊工業新聞2022年10月10日

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