ゼネコンが開発にしのぎ削る、最先端「地盤改良技術」の世界
ゼネコン各社が地盤改良関連の技術開発でしのぎを削っている。不動テトラは独自の自動打設システムを、より多くの現場で使える小型の地盤改良機に展開・実用化。清水建設や戸田建設は施工後の評価に着目し、強度などを確認する手法を確立した。相次ぐ大規模自然災害を背景に地盤改良のニーズが拡大する中、各社は高い施工品質と生産性向上の両立を追求する。
不動テトラとソイルテクニカ(東京都中央区)はこのほど、先行して実用化した大型機向け自動打設システム「ジオパイロット・オートパイル」を小型機に適用。併せて、撹拌翼のノズルから固化材を噴射・撹拌するFTJ―NA工法の自動化にも成功した。不動テトラの大林淳取締役常務執行役員は「現場の省力化と生産性向上という課題を克服する技術」と自信を示す。
同システムに対応する小型機を、2023年9月までに計4機にする計画。小型機への適用により、建物の近くや橋・架線の下など空頭制限がある場所のほか、既存の河川堤防など狭い場所での自動施工が可能になる。
また現場で撹拌翼を交換することで、用途に応じてFTJ―NA工法(高圧噴射式)とCI―CMC工法(機械撹拌式)を使い分けられる点も訴求する。
同システムではコントロールユニットにより、撹拌軸の貫入や引抜速度、つかみ換え、セメントスラリーの吐出量などを制御。オペレーターは打設時に必要だった32の作業を8回のタッチパネル操作で完了できる。これによりオペレーターの習熟期間を従来比約3分の1に短縮でき、若手や海外の現地オペレーターでも一定の施工品質で仕上げる効果が見込めるという。
清水建設・戸田建設、施工後評価の手法確立
一方、清水建設はセメント系固化材による地盤改良工事で、施工後の強度を30分程度で判定する「C―QUIC」を開発した。セメントのアルカリ成分と酸の中和反応を用い、未固結状態のソイルセメントに含まれるセメント量を推定する仕組み。これにより改良地盤が固化する前に施工の良否を判断できるようになるため、施工不良に伴う再施工や工程の遅延を減らせる。
これに対し、戸田建設は小型動的コーン貫入試験と電気検層技術を併用。1回の削孔で二つの試験を行い、薬液注入工法による地盤改良効果を確認する評価手法を確立した。埋め立て地や液状化対策工事など、粘土層や貝殻などの混入もあるバラツキが大きい地盤性状で評価の有効性を確認した。
早期に実用化し、液状化対策など地盤改良工事の品質向上と安全確保につなげる。