“逆風”解消へ、ゼネコン大手が研究開発費を増やして創出目指す新価値

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世界貿易センタービルディングの解体工事では新工法を開発・導入した(鹿島)

ロボ・AI活用・脱炭素 手厚く

ゼネコン大手4社は2022年度の研究開発費に合計で約680億円を投じる。21年度の実績を6・0%上回る。建設現場の生産性向上に寄与する技術やロボット、人工知能(AI)の活用、脱炭素や安全・防災といった分野の研究開発に重きを置く。併せて、研究職の確保に向け中途採用の拡大も検討。従来分野と最先端技術を融合し、新たな価値の創出を目指す。

鹿島の技術研究所長を務める利穂吉彦常務執行役員は「技術革新の進展や脱炭素社会の実現といった流れの中で、研究開発が担う役割は増している。日本の建設業が存在感を示せるようにしたい」と意気込む。

各社が追求するのが、施工の自動化など生産性を向上する技術の開発だ。背景にあるのは慢性的な建設技能労働者不足と2024年4月に迫る時間外労働の上限規制適用という“逆風”。この解消に向け「ゼネコンが打ち出せる解の一つが生産効率化」(日本建設業連合会の宮本洋一会長)だ。

すでに花開いた成果も多い。鹿島は「世界貿易センタービルディング」の解体工事で、構造床を斜めに切断する新工法を開発。仮設支保工の存置を不要にしたことで、1フロア当たりの工期を2日短縮した。大林組も山岳トンネル工事で使う鋼製支保工で、歪みを無線で計測・送信するシステムを完成。計測コストの2割減と工期短縮を実現している。

環境配慮型コンクリートに代表される脱炭素技術も、各社が注力する領域の一つ。大成建設は二酸化炭素(CO2)の吸収量が製造時の排出量を上回る「カーボンネガティブコンクリート」を軸に、25年度の現場適用を21年度比10倍にする目標を掲げる。清水建設もコンクリート構造物の表層に塗った含浸剤でCO2を吸収・固定化する技術を仕上げた。

竹中工務店も鹿島やデンカなどとカーボンネガティブコンクリートの社会実装に向けコンソーシアムを始動。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトとしてコンクリートの製造、運搬、施工時に発生するCO2の削減と固定量の最大化、低コスト化に寄与する技術開発をけん引する。

このほか、各社は木造・木質建築の構造に関連する技術や洋上風力発電関連をはじめ、老朽化インフラのリニューアル、建築の3次元(3D)モデリング技術「BIM」の活用などを主要な研究開発テーマに挙げる。デジタル変革(DX)推進の一環で、BIMとの連携システムの開発も相次ぐ見通しだ。

日刊工業新聞2022年8月1日

キーワード
ゼネコン 鹿島 大成建設

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