ターンテーブル部品をヒントに、マグネシウムの特性生かしたスピーカー
「バイオン-Mg 60」(以下バイオン)はマグネシウム製のスマートフォン用無電源スピーカーだ。使用方法は上部に空いた長方形の穴にスマートフォンを差し込み、音楽再生するだけ。 マグネシウムの持つ高い振動吸収性とそれを最大限に生かす設計で、鮮明な音が響く。
中小製造業14社・約40製品が集まる! 「モノづくりの面白さ」「技術の奥深さ」を伝えるポップアップストア 【マグネシウムへの挑戦】バイオンの開発・製造を手がけたのは、マグネシウム合金の引抜き加工を始めさまざまな加工を行う(株)マクルウ。同社の設立は2010 年。安倍雅史社長がそれまで操業していた鉄の引抜き加工メーカーを譲渡し、立ち上げたベンチャー企業だ。
創業当初はマグネシウム加工技術の開発を進めていたが次第に安倍信貴常務取締役を中心に盲導犬のハーネスや、高齢者用の杖などの、マグネシウムの軽さに着目した製品開発の話がふえ、順調に業績を伸ばしてきた。
そんな中アナログレコード用ターンテーブルの一部品である「トーンアームパイプ」をマグネシウムでつくって欲しい、という注文が舞い込んだ。ディスクに落とす針を支える細いパイプのことで、振動吸収性が高いマグネシウムで製造すれば高音質が期待できるという。「軽い」以外の新たなマグネシウムの特性を再認識した安倍常務はこれを機会に音に関連した製品をつくってみようと思いついた。
アイデアをめぐらせるうち、頭に浮かんだのは「iBamboo」と呼ばれる製品だ。切り出した竹筒の上部にアイフォンを差し込む穴が空いており、音楽を再生すると竹筒の中で音が反響し、大きく聞こえるというシンプルな無電源スピーカーだ。あの形で材料にマグネシウムを使用すればさらに良い音が出るのではないか、と安倍常務は考えた。
2016 年12 月にクラウドファンディングに挑戦、2 カ月で目標達成率420%、276 人の支援者から210 万円の資金調達に成功。しかし苦労したのは構造の見直しだった。スピーカーとなる筒を長くし、板厚を太くすればそれだけ重厚で大きな音が響く。しかし、無電源スピーカーの利点は「どこでも使える」ところ。持ち運びのできる軽さで、なおかつ質のよい音が出る、という「ちょうどよさ」を見極めるのに苦労した。試作を重ねる過程で正面に穴を2 個所空けるとより音が響くことも発見した。
2017 年6 月には通販サイトを通じて一般への販売も開始した。フィリップモリス(Marlboro)のキャンペーンの景品や富士宮市の「ふるさと納税」の返礼品などにも採用され少しずつ認知されてきている。今後はさらなる海外販路拡大を目指す。
商品情報
シリーズ名:バイオン-Mg60商品名:バイオン-Mg60
用途:スマートフォン用無電源スピーカー
カラー:マグネシウムクリア,オリーブドラブ,マットブラック,ライトグリーン,ピンク,オレンジ,スノーホワイト,アンティークゴールド,リンクルレッド
サイズ(mm):W360×D60×H63
価格(税込):9,680円
販売サイトURL:https://magneya.com/product/product/bion-mg-60.html
シリーズ名:フラミンゴ
商品名:フラミンゴ2 サイズ伸縮式
用途:杖
カラー:シェルピンク,ヴァン・ダイクブラウン,イエローグリーン,セミグロスブラック,フラミンゴピンク,シアンブルー,ミルキーホワイト
サイズ(mm):長さ 770~910、パイプ径 φ22 x φ19
価格(税込):13,200円
販売サイトURL:https://magneya.com/product/product/flamingo2-telescopic.html
シリーズ名:Lighttempo
商品名:ステップスツール
用途:踏み台、スツール
カラー:ミルキーホワイト,グレイ,ブラック,イエローグリーン,ナイルグリーン,シェルピンク
サイズ(mm):W392×D398(ステップ部引き出し時562)×H500
価格(税込):30,800円
販売サイトURL:https://magneya.com/product/product/light-tempo.html
商品名:マグタマ
用途:アクセサリー
カラー:マグネシウムクリア
サイズ(mm):約12x30-50
価格(税込):2,200円
販売サイトURL:https://magneya.shop-pro.jp/?pid=156023547
企業紹介
株式会社マクルウ MACRW所在:静岡県富士宮市山本286-1
従業員数:7名
主な製造品:福祉機器・ドローンなどの関連部品、マグネシウム合金パイプなどの冷間引抜き及びパイプ曲げ・溶接など各種二次加工、マグネシウム合金製製品の企画・製作など
マグネシウム合金の冷間引き、曲げ加工、溶接などが得意技術。マグネシウムは、「実用金属」(モノづくりに使われる金属)の中でも最も軽い金属。1円玉にも使用されるアルミニウムの三分の二程度の重さしかなく、比強度はほかの金属よりも上。「軽くて頑丈な」製品を作るのに最適な素材となる。しかし、反面マグネシウムの加工は難しく、同社のように複数の加工を1社内でこなせるメーカーは少ない。現在、軽さと頑強さ両方が必要とされる「ドローン」や、競技用車いすのパイプ(パラリンピックなどでも使用)の製造を手掛け注目を集めている。
FACTORY’S GOODs 詳細情報
10月開催 BtoB展示&ポップアップストア @東京ビッグサイト
会期:2022年10月19日(水)〜21日(金)10:00~17:00
会場:東京ビッグサイト西4ホール F-01(東京都江東区有明3-11-1)
入場登録:要 (お申し込み https://autumnfair.nikkan.co.jp/)
日刊工業新聞社など主催の7つのビジネス展示会との併催です。申し込みサイトは2022洗浄総合展、Japan Robot Week 2022、VACUUM2022真空展、SAMPE Japan 先端材料技術展2022、スマートファクトリーJapan2022、高精度・難加工技術展2022、表面改質展2022と共通です。
入場料:入場登録者、招待券持参者、中学生以下は無料
11月開催ポップアップストア @WITH HARAJUKU
会期:2022年 11月18日(金)〜19日(土)11:00~18:00
場所:WITH HARAJUKU(東京都渋谷区神宮前1-14-30)
入場登録:不要
入場料:無料
特設Webサイト:https://biz.nikkan.co.jp/brand/factorysgoods/
展示会スポンサー
日進工具株式会社
株式会社ソディック
牧野フライス精機株式会社
碌々産業株式会社
株式会社牧野フライス製作所
一般社団法人日本工作機械工業会
株式会社アマダ
モノづくり日本会議
特集・連載情報
日本のモノづくりの面白さ、技術の奥深さ、その価値を、若者を中心に幅広い人々に伝えたい。モノづくりへの純粋な驚きと興味を広げ、次世代につなげたい―そんな思いを持った日刊工業新聞社の社員から生まれた企画です。
製品のファンを創出するだけでなく、今後の日本のモノづくりに興味を持ってもらうことで「持続可能な日本のモノづくり」を担う次世代の人材発掘も目指します。