金属3Dプリンターの可能性を体現する、繊細な盃
独特の肌触りとデザイン、そして色合いが魅力の「Syuki」は金属3Dプリンタによって製造された「盃」だ。3Dプリンタが得意とする2重の中空構造となっており、外側表面には繊細な編み込みで構築し、内側表面にも細かな模様も浮かび上がらせた。オリジナルの模様やマークを入れることなども可能で、記念品やギフト用の購入でも人気が高まっている。企画・製造するのは、金属3Dプリンタの普及に力を入れる、精密・金型加工メーカーの伊福精密(株)だ。
中小製造業14社・約40製品が集まる! 「モノづくりの面白さ」「技術の奥深さ」を伝えるポップアップストア 【京都の竹細工を参考に 日本の美と最新技術の融合】「表面の編み込みは竹細工をイメージしました。京都の職人さんのところにも勉強としてお邪魔し、その繊細な美しさをできる限り再現しようとずいぶん研究しました」 と話すのは、企画の中心となった同社の伊福元彦社長。内側の文様も市松模様や青海波など、日本の古典的文様を参考にデザインした。サイズ展開は2種類。色はシルバーと黒と青の3色で、飲み口は丸型と、六角型を用意している。
また表面処理として「イオンプレーティング処理」を採用。被膜が薄いため、3Dプリンタの独特の質感を残すことができる。同処理は、特に青色の「Syuki」の内側に濃淡の違う美しい虹彩が浮かび上がり、表情の違いを楽しめる。
一見どんな形状も形にする「魔法の機械」に見える3Dプリンタだが、実はさまざまな形状の制約がある。同社は2016年に金属3Dプリンタを導入後、情報収集や試行錯誤を経て技術を蓄積してきた。
「3Dプリンタは基本的に材料である粉を焼き固め『重ねて』少しずつ形状を作っていきます。そのため、例えば斜めの角度に傾斜をつけたそれこそ『おちょこ』形状などをそのまま作ると支えがなく崩落してしまう。そのため『Syuki』は広い飲み口の方を下にした形で成形しています。見た目にも美しく、量産性の高いデザイン設計は一筋縄ではいかない。3DCADに落とし込むのにはずいぶん時間がかかりました」(伊副社長)
「Syuki」は同社が始めたデザイン雑貨ブランド「OshO」の第一弾。ブランド立ち上げの一番の目的は「3Dプリンタ」の技術を知ってもらうことだ。
「3Dプリンタの技術は日々進歩していますが、それでも懐疑的な気持ちをぬぐえない、いわば「アレルギー」を起こしている人も多い。具体的な『製品』を通して3Dプリンタの可能性に触れてほしい。と思いました。マーケットをつくるためには、一種の「ストーリー性」が必要。3Dプリンタにしかできない、世界で初めてのものを作る。日本で3Dプリンタが広まっていく一歩になってほしい」(伊福社長)同社の紡ぐ、3Dプリンタ普及の物語の序章は始まったばかりだ。
商品情報
商品名:Syuki-Smart(Large)
用途:酒器
カラー:Silver/Black/Blue
サイズ(mm):φ60*H60mm
価格(税込):68,200円
商品名:Syuki-Rokkaku(Large)
用途:酒器
カラー:Silver/Black/Blue
サイズ(mm):φ58*H57mm
価格(税込):68,200円
販売サイトURL:https://www.ifukuseimitsu.com/lp-syuki/
企業紹介
伊福精密株式会社 Ifukuseimitsu所在:兵庫県神戸市西区伊川谷町潤和字西ノ口750-6
従業員数:50名
主な製造品:各種試作品・量産品の製作、冶工具・金型の設計製作、難加工材の工法開発、新素材の加工方法の研究、製品測定事業 、デジタル倉庫サービス
高度な放電加工技術と計測技術で、精密加工を得意とし精密部品、金型部品加工が中心だが、2016年には金属3Dプリンタを導入。他社に先駆け加工技術の確立に成功し、注目を集める。金属3Dプリンタはパソコンで作った3D(立体)データをもとに、金属のパウダーを少しずつ焼き固めながら立体に成形していく。中が空洞であったり、複雑に折れ曲がっていたりと従来の製造法では実現できなかった形状も製造可能。一見魔法のような技術に見えるが、成形に必要な3Dデータを作るには独自ノウハウが必要となり、企業の技術力が一目瞭然となる加工でもある。
FACTORY’S GOODs 詳細情報
10月開催 BtoB展示&ポップアップストア @東京ビッグサイト
会期:2022年10月19日(水)〜21日(金)10:00~17:00
会場:東京ビッグサイト西4ホール F-01(東京都江東区有明3-11-1)
入場登録:要 (お申し込み https://autumnfair.nikkan.co.jp/)
日刊工業新聞社など主催の7つのビジネス展示会との併催です。申し込みサイトは2022洗浄総合展、Japan Robot Week 2022、VACUUM2022真空展、SAMPE Japan 先端材料技術展2022、スマートファクトリーJapan2022、高精度・難加工技術展2022、表面改質展2022と共通です。
入場料:入場登録者、招待券持参者、中学生以下は無料
11月開催ポップアップストア @WITH HARAJUKU
会期:2022年 11月18日(金)〜19日(土)11:00~18:00
場所:WITH HARAJUKU(東京都渋谷区神宮前1-14-30)
入場登録:不要
入場料:無料
特設Webサイト:https://biz.nikkan.co.jp/brand/factorysgoods/
展示会スポンサー
日進工具株式会社
株式会社ソディック
牧野フライス精機株式会社
碌々産業株式会社
株式会社牧野フライス製作所
一般社団法人日本工作機械工業会
株式会社アマダ
モノづくり日本会議