「カーボンネガティブ」を実現、清水建設が開発したスゴい環境配慮コンクリートの仕組み
清水建設は、炭化させた木質バイオマス(バイオ炭)を混入することで二酸化炭素(CO2)を固定する環境配慮型コンクリートを開発したと発表した。低炭素セメントとの併用により、CO2の吸収量が製造時の排出量を上回る「カーボンネガティブ」を実現できる。土木工事の現場で施工性や耐久性を検証し、2022年度内に大規模構造物への適用を目指す。
成長過程でCO2を吸収した木材の炭化物を混和材に使い、コンクリート内部にCO2を固定する。硬化性状試験やフレッシュ性状試験の結果、従来のコンクリートと同等の性能・流動性を持つことを確認した。施工現場での打設のほか、あらゆるコンクリート構造物に適用を見込む。J―クレジット制度など、環境価値のクレジット化に向けた取り組みも進める。
バイオ炭には原料として、針葉樹や広葉樹の製材時に廃棄されるオガ粉を利用する。オガ粉を炭化したオガ炭は大量のCO2を安定して固定できる特徴があり、炭素含有率は約9割に上るという。コンクリート1立方メートル当たり60キログラムの混和材を添加すれば、約160キログラムのCO2を固定できる。低炭素セメントを使えば、最大127%のCO2排出削減効果を引き出せる。
日刊工業新聞2022年8月10日