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トンネルのロックボルト打設機械化、清水建設などが開発した遠隔施工技術の仕組み

トンネルのロックボルト打設機械化、清水建設などが開発した遠隔施工技術の仕組み

2ブームロックボルト打設専用機を導入し、切羽直下の人力作業を不要にした

清水建設は、古河ロックドリル(東京都千代田区)と共同で、山岳部のトンネル工事向けにロックボルトの遠隔打設を可能にする施工システムを開発した。東海北陸自動車道のトンネル工事現場で実証し、穿孔からモルタル充填、ロックボルト挿入まで打設作業の機械化に成功。切羽(掘削面)直下で行う危険な作業を不要にし、サイクルタイムの1割短縮、施工の省人化といった効果も確認した。現場での課題抽出や機能の改善に取り組み、山岳トンネル工事の標準技術として展開を目指す。

両社がロックボルトの遠隔打設装置を2基装備した「2ブームロックボルト打設専用機」を使った遠隔施工システムを開発した。実証施工では、1サイクル当たり13本のロックボルト打設を35分で完了できたほか、作業人員も従来の5人から3人に減らせた。

2ブームロックボルト打設専用機には穿孔からモルタル充填、ロックボルトの格納・押し込みまでを行う各装置を一体化して装備。2ブームの動作は3次元(3D)シミュレーションでの検証に基づき、打設効率を最大化した施工計画を策定できる。オペレーターはモニター上で各機器を操作。施工データを即時に可視化し、出来形精度の向上や施工品質の均一化も見込める。

山岳トンネル工事では掘削後に地山の崩落・変形を防ぐため、支保工としてロックボルトと呼ぶ鋼棒を切羽周辺の地山に放射状に打設する工程が必要。同作業は穿孔、モルタル充填、ロックボルト挿入の繰り返しで、穿孔以外の作業は人手に頼っている。施工の効率化と安全確保には切羽直下の作業を見直し、打設工程の完全機械化が求められていた。

日刊工業新聞2022年6月24日

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