富士通がスパコン「富岳」クラウド化実証
富士通は、スーパーコンピューター「富岳」によるクラウド上の実証環境で電磁波解析ソリューション「ポインティング・フォー・マイクロウエーブ」を用いて、宇宙と都市交通の両分野でそれぞれ課題解決に向けた検証を行い、有効性を確認したと発表した。共有型の「コンピューティング・アズ・ア・サービス」(CaaS)のメニューとして、2023年度の実用化を目指す。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が22年度中に打ち上げ予定のX線分光撮像衛星「XRISM」を想定。複雑な衛星の詳細構造をモデル化した上で、これまで不可能だった、真空槽の蓋(ふた)を空けた状態を再現した大規模電磁波シミュレーションを実施した。課題だった電磁波の衛星内での強度の定量評価に成功し、軌道上でも観測性能に問題ない水準にあることを確認した。
交通分野では第5世代通信(5G)を前提に、建物などの複雑な形状を考慮しながら、交差点に設置した送信機と自動車搭載の受信機間の路車間通信の品質を評価した。その結果、現実的な時間で良い解を効率よく得るために用いられる近似解法では不可能だった複雑で大規模な電磁波問題に対して、クラウド環境で厳密なシミュレーションが可能なことを確認した。
日刊工業新聞2022年7月22日