カメラを設置せずに見守れる、富士通のスゴい新技術
富士通は、一般的なミリ波センサーで取得する粒度の粗い点群データから、人の姿勢を高精度に推定できる新技術を開発した。プライバシーに配慮した上で転倒などを確実に検知し分析できる。独自の人工知能(AI)「アクトライザー」との連携により、病院や介護施設などにおいて、カメラを設置せずにセンサーのみで転倒前後の行動を詳細に分析できる。2023年度中にサービス化を目指す。
ミリ波センサーから電波を照射して得られる点群データの粒度は粗いが、複数回照射することで時系列情報として扱うことが可能。新技術では取得した大量データから点群データを適切に選び、姿勢の推定に必要な粒度の細かい点群データへの拡張を可能とした。
併せて、点群データと人の関節点の3次元座標情報を対応させた大規模データセットを用い、高精度な姿勢推定AIモデルを新たに開発。約100種の基本動作データを組み合わせ、人の複雑な行動を分析できるアクトライザーと連携させた。
新技術は歩行時やベッドから立ち上がった時の転倒などの検知とプライバシー配慮を両立でき、看護師や介護者による目視での見守りの負担や緊急時対応の遅れを減らせる。
福祉製品やサービスの開発などに取り組む川崎市とともに、新技術の有用性を6月に検証しており、結果を踏まえ、8月以降に実際の高齢者施設で実証実験を予定する。
日刊工業新聞2022年7月7日