キリンビバレッジが「自販機」を構造改革、カギは機能性商品
キリンビバレッジは2022―24年の3年間で約20億円を投じ、自動販売機事業の構造改革を進める。21年に約20億円を投じ、不採算の自販機の撤去やオペレーションの拠点を閉鎖するなど、改革を進めてきた。今後は収益構造を改善しながら、機能性商品など高付加価値商品を並べた自販機を増やすなど、1台当たりの収益性を高めることで、自販機事業の改善を図る。
キリンビバレッジは21年に首都圏の自販機のオペレーションを担う東京キリンビバレッジサービス(東京都千代田区)の拠点を5拠点閉鎖し、近隣の拠点に機能を集約した。また、不採算の機材を約5000台撤去。21年は前年比6%減の19万4000台に削減した。21年に構造改革の多くを進め、22―24年の3年間で20億円を投じて、不採算の機材の撤去を中心に取り組み収益性を改善する。
キリンビバレッジの21年の自販機での販売数量は、新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限の影響などで前年比5%減となった。飲料総研(東京都新宿区)によると、自販機市場での飲料の販売数量は07年をピークに微減が続き、20年は前年比15%減。厳しい市場環境の中、飲料メーカーにとって、自販機事業の収益性の低下が課題となっている。
キリンビバレッジでは市場の変化を踏まえ、機材を増やして全体の収益を拡大する従来の戦略から、オペレーションの効率化と1台当たりの収益向上を図る戦略に転換。グループで強化する独自素材の「プラズマ乳酸菌」を配合した機能性商品をそろえ、自販機を活用して効果を訴求するなど他社との差別化も図りながら自販機事業の収益拡大を目指す。
日刊工業新聞2022年5月25日