富士電機がスマホ決済「ペイペイ」対応の自販機で狙う新たな商機
富士電機は、大手スマートフォン決済「PayPay(ペイペイ)」対応の自動販売機を開発した。QRコード(2次元コード)決済サービスの急速な普及とともに、新型コロナウイルス感染拡大による利用者の衛生意識の高まりを新たな商機ととらえる。8月以降にペイペイ対応機が街頭などに登場する見込み。他のスマホ決済向け開発も進め、2021―23年度に計5万台のQRコード決済自販機の販売を目指す。
ペイペイ決済に対応するため、自販機本体と内蔵の双方向通信端末(MCU)に搭載するソフトウエアをそれぞれ開発した。既設自販機の場合、主要顧客の飲料メーカーなどはソフト更新のほかに、前面にQRコード印字のシールや商品見本棚用シェード(ひさし)を取り付けるだけで済む。外付けの液晶ディスプレーやカメラが要らず、初期投資を抑えられる。
実際の利用例は最初にスマホのペイペイアプリを立ち上げて自販機前面のQRコードを読み取る。次に商品を選択し、スマホ上で決済が終わると商品が出てくる。金額の手入力は不要。
“偽QRコード”対策として、近距離無線通信「ブルートゥース」で自販機との認証をとる仕組み。交通系などの電子マネーとも併用できる。富士電機が16年以降に発売した自販機であれば、ペイペイ対応が可能だという。
MMD研究所の調査によると、「最も利用しているQRコード決済サービス」でペイペイの割合が回答全体の43・1%と首位。富士電機はQR決済最大手への対応で、海外に比べて遅れるキャッシュレス決済環境の整備を後押しする。
日刊工業新聞2021年7月20日