“改革者”を影で支えてきた…NTT次期社長の素顔
NTTは、持ち株会社の次期社長に島田明副社長(64)が昇格する。澤田純社長(66)は代表権のある会長に就く。NTT東日本の社長には持ち株会社の渋谷直樹副社長(59)が、NTT西日本の社長には海外事業会社NTTリミテッドの森林正彰副社長(60)が就く。3社の社長交代は4年ぶり。6月の株主総会を経て就任する。
これまでNTTは、2020年のNTTドコモ完全子会社化を皮切りに、グループ再編を進めてきた。今後はグループ融合による相乗効果の創出や海外事業の拡大が課題になるとみられ、澤田氏・島田氏が二人三脚で取り組む。島田氏は同日の会見で「澤田社長のこれまでの変革の路線を引き継いでやっていきたい」と意気込みを述べた。
持ち株会社の社長が代表権のある会長に就くのは、26年ぶり。澤田氏は自身の役割について「基本的にガバナンス側。NTTデータの再編、IOWN(アイオン、次世代光通信基盤の構想)推進をサポートする」と語った。
【略歴】島田明氏(しまだ・あきら)81年(昭56)一橋大商卒、同年日本電信電話公社(現NTT)入社。07年経営企画部門担当部長、11年NTT東日本取締役。15年NTT常務取締役、18年副社長。東京都出身。
島田明氏(しまだ・あきら)氏/人事・財務歩んだ「辣腕」
“改革者”澤田氏を、影で堅実に支えてきた人物。澤田氏の副社長時代に総務部門長を務めたほか、18年に澤田氏が社長就任した後は同氏の後任として最高財務責任者(CFO)を務めるなど、8年間一緒にNTT改革を進めてきた。
人事や財務など事務系キャリアを長く歩んだ。直近では、最高人事責任者(CHRO)として、人事制度改革で辣腕(らつわん)を振るった。全管理職へのジョブ型人事制度の導入を指揮。「新制度の肝は、運用だ」と楽観しない点に、高いバランス感をうかがわせる。
澤田氏も「海外経験が2回ある上、NTT東・西、NTTコミュニケーションズといったグループ企業で経験がある。バランスのとれた、後進を託すにふさわしい経営者」と評する。
趣味は神社、仏閣巡りをかねたウオーキング、社会人野球観戦、孫との将棋。(張谷京子)