ウエアラブル端末で作業員の安全管理、NTT東日本が本格販売に踏み切る理由
NTT東日本は、身につけて使うウエアラブル端末を活用した安全管理ソリューション「ウエアラブルコネクト」を開発した。建設現場や工場などにおける作業員の居場所について、どこの階にいるかまで分かる点が特徴。転倒や急病で動けない状態を把握したり、体温上昇の疑いを知らせたりする機能も備える。今後、建設業や製造業向け機器の卸会社と販売で協業するなどし、2023年度に100社へ3000端末の導入を目指す。
10月時点で同ソリューションに対応する端末は、中国のスタートアップであるMovboi(モブボイ)の腕時計型端末「TicWatch E3(ティックウオッチ イースリー)」。NTT東は順次、利用可能端末を拡充する方針。
屋内での位置情報の把握は、階ごとにビーコン(小型発信器)を設置し、作業員が身につける端末と近距離無線通信「ブルートゥース」で交信することにより行う。体温上昇のおそれを通知する機能は、一定時間、脈拍数が上昇したままの場合に体温が上がっているとみなす仕組み。あらかじめ蓄積した個人ごとの脈拍数のデータも参考に判断する。新型コロナウイルスやインフルエンザなどの集団感染の予防に有効な手段として提案する。
NTT東は、同ソリューションの試験的な販売を8月に始めた。10月20日時点では1社への導入実績があり、30社程度が採用を検討中。建設や製造以外では物流や農業、ビル管理での引き合いが多い。病院やテーマパークでの活用についても相談があるという。需要が確認できたと判断し、本格販売に踏み切る。
日刊工業新聞2021年10月29日