水は高速透過、塩は通さない「フッ素化ナノチューブ」がスゴい

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開発したフッ素化ナノチューブの概要図(東大提供)

東京大学の相田卓三卓越教授らは、水を高速で通すが塩を通さないナノメートルサイズ(ナノは10億分の1)のフッ素化ナノチューブを開発した。弱い相互作用で小分子が互いに“接着”して鎖となる「超分子重合」に注目。内壁がフッ素で覆われた内径0・9ナノメートルのチューブを作れた。細胞の水の取り込みに関連するたんぱく質「アクアポリン」の4500倍の速度で水を透過できる。水不足時に対応できる超高速水処理膜の開発につながる。

 理化学研究所との共同研究。成果は米科学誌サイエンス電子版に13日、掲載された。

内側にフッ素原子が密に結合した環状の化合物を使用。超分子重合を使って1列に重ねることで、内壁がテフロン表面のように密にフッ素で覆われた内径0・9ナノメートルのフッ素化ナノチューブを作れた。水分子一つが透過できる内径0・3ナノメートルの穴があり、高い水透過能と塩除去能を持つアクアポリンの4500倍の水透過能を持つことが分かった。さらに内壁がフッ素で覆われていることから負に帯電しており、塩化物イオンが侵入しない仕組みになっているため塩を通さない構造になっている。これまでアクアポリンを模倣したナノチューブは報告されているが、その性能を大きく超える報告はこれまでなかった。

持続可能な社会の実現には海水を淡水化する技術が必要不可欠な課題であり、さまざまな水処理膜が開発されてきた。だが地球規模の飲料水不足を解決するには、より水処理膜の能力を高める必要があった。

日刊工業新聞2022年5月13日

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