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量子機能デバイス開発へ、カーボンナノチューブがトランジスタに

物質・材料研究機構の湯代明主任研究員と産業技術総合研究所のドンN・ふたば研究チーム長、東京大学の丸山茂夫教授らは、1本のカーボンナノチューブ(CNT)をトランジスタにすることに成功した。金属CNTに熱と応力をかけて中央部分を半導体CNTに変化させる。トランジスタのチャネルの長さが2・8ナノメートル(ナノは10億分の1)と小さく、量子力学的な閉じ込め効果が生じている。単一分子レベルの量子機能デバイスの開発につなげる。

CNTトランジスタのイメージ(左)と電子顕微鏡像(物材機構提供)

CNTは炭素が六角形に並んで筒状になった炭素物質。筒に対しての六角形の向きによって電気特性が金属伝導か半導体性伝導になる。今回、透過型電子顕微鏡の中で2本の探針を操作し、CNTに電気を流して加熱しながら引っ張ることで塑性変形させた。六角形の向きが変わっていることを電子回折パターンなどで確認した。

今回CNTは金属の固定電極から突出した状態で存在する。2本の探針と固定電極をトランジスタのソース電極とドレイン電極、ゲート電極に見立ててサスペンデッド型トランジスタを構築した。

ソース電極とドレイン電極の間に中央が半導体になった金属CNTを配置する。すると駆動電圧が0・5ボルトでオン電流が740ナノアンペア、オフ電流が0・2ナノアンペアになった。オンオフ比は3700に相当する。CNTに量子干渉も観測された。量子機能デバイスの設計と製造を進める。

日刊工業新聞2021年12月27日

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