日本板硝子が開発、食中毒の原因菌を25分で検出する試薬
日本板硝子は、短時間のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で食中毒の原因菌「カンピロバクター菌」を検出する試薬を開発した。従来は検査結果まで1週間程度要するが、新試薬を使い同社開発のハンディー型遺伝子検査装置を使用し測定することで、検査結果を約25分間で得られる。食品衛生をはじめ水質・環境分野向けなどにも専用試薬のラインアップをそろえ、検査装置の拡販にもつなげる。
今回の試薬は専用試薬の第1弾。日本板硝子はこれまでテスト販売していたが量産にめどが立ったことから、まず国内の鶏肉加工工場約590カ所を対象に5月から本格販売する。
試薬に使用する検査装置は、日板が開発したモバイルリアルタイムPCR装置「ピコジーン PCR1100」。病原菌やウイルスの検査を、DNA合成酵素(ポリメラーゼ)を利用し、加熱・冷却を繰り返し、DNA合成反応を連続で行い、短時間でDNAを増幅しリアルタイムでの測定を可能にした。持ち運び可能な小型装置だが、大型装置並みの検査精度で、新型コロナウイルスを検出できる性能をもつという。
現在、その手軽さから大手食品メーカーなどがカンピロバクター菌、レジオネラ菌、サルモネラ菌、ノロウイルスなどの検査に採用する。日板は同検査装置の普及促進や、より手軽で高精度の検査実現のため、専用試薬の開発を進めている。
カンピロバクター菌は、鶏肉の約6割に生息するといわれる食中毒菌。免疫力が低下した高齢者や乳幼児に感染すると深刻な健康被害を及ぼす可能性がある。
日刊工業新聞2022年4月28日