CO2活用で「残コン」を現場で資材にするスゴい技術、鹿島が確立
鹿島は、建設現場で使われずに廃棄されてきたコンクリート(残コン・戻りコン)を、二酸化炭素(CO2)を使って現場で再利用可能な資材に分離する技術を確立した。一般的な濁水処理装置を活用し、粗骨材とCO2を吸収・固定させた処理土、水素イオン指数(pH)と濁度を下げた処理水に分ける。残コン・戻りコンをゼロにするとともに、CO2排出量の削減を両立する。
同日都内で会見した坂田昇執行役員土木技術部長は「現場の既存設備で実現できるというのが重要。半年後をめどに実用化したい」と手応えを示した。千葉県内の現場で行った実証を踏まえ、まずはCO2固定量を定量的に分析。その上でより高効率なCO2固定技術をはじめ、建機などから発生する排出ガスに含まれるCO2の活用技術、処理土の活用技術の開発にあたる。
一連の処理は濁水処理装置に振動式のふるいを追加して行う。まずアジテータ車から投入された生コンクリートはふるいを通り、モルタル分は下の水槽に落下、残りは粗骨材として排出される。モルタル分は撹拌された後に濁水処理装置に送られ、炭酸ガスによる処理でCO2を吸収・固定し中和された処理土と、放流基準値以下のpHになった処理水に分離される。
建設現場では「残コン」や出荷元の生コン工場に戻す「戻りコン」を削減しようとする動きが出ているが、完全にゼロにするのは難しい課題があった。
日刊工業新聞 2022年4月27日