お気に入りの言葉は「ためしてガッテン」、鹿島会長の経営哲学

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「建設業の役割は、事業を通して人の欲求を満たし社会に貢献することだ」

長年、創業家出身で元社長の鹿島昭一氏の傍らにいて、昭一氏から企業が持続的に成長する重要性や人を大切にする心を学んだ。

「経営者は10、20年後の夢を持ち、何かをしなければならないという欲や意欲を常に持つことが大切。その気持ちを常に持ち続けなければ務まらないだろう。経営者にはそれが自然に備わった人が多いようだ」

仕事を通じた人との出会いが、経営者としての資質を磨いた。

「経団連前会長の中西宏明氏からは、人に興味を持ち、人に優しく向き合うことが必要だということを学んだ。自分一人では商売ができない。岡藤正広伊藤忠商事会長の言葉『ひとりの商人、無数の使命』は、相手に合わせた商売の大切さを意味する。いずれも請負業の建設業に当てはまる商人のあるべき姿を表現する」

苦学生だったが、鹿島が霞が関ビル(東京・霞が関)を建設した様子を描いた映画「超高層のあけぼの」(1969年)の影響を受け、高いビルの建設に従事することを心に決めた。夢だった現場所長には40歳で初めて着任。「社員1人の現場で、施工計画の作成や現場作業員の雇用関連などの業務を自分の責任で決めることは大変だったが、モノをつくる楽しさを感じた」と振り返る。

お気に入りの言葉は「ためしてガッテン」、好きな人物は司馬遼太郎の小説「竜馬がゆく」の主人公、坂本竜馬を挙げる。果敢にチャレンジする姿を独特の描写で描かれた竜馬に惹(ひ)かれた。

「何事にも挑戦する。諦めたら実現しない。経営は物事の本質を理解する事が重要だ」

また多くの建設現場で苦難を経験しており、経営者はそれ乗り越えるのも大きなテーマだと指摘。「トラブルは本質を理解しないと本当の問題解決はできない。予知できれば事前に手だてが打て、失敗を防ぐことができる」と解く。

かつて建設各社が海外進出に挑み苦戦したが、「国内事業だけでは限界がある『もう一度、海外』」と巨額の投資にチャレンジした。今期は好調な北米などの開発事業が業績に寄与している。

座右の銘は、幸不幸の予測は難しいという「人間万事塞翁が馬」。超高層ビルへの思いが強いのだろうか、引退したら気球を操縦するのが夢だという。(編集委員・山下 哲二)

【略歴】
おしみ・よしかず 74年(昭49)東工大工卒、同年鹿島入社。05年執行役員、08年常務執行役員、10年専務執行役員、15年社長、21年会長。神奈川県出身、72歳。

日刊工業新聞2022年1月18日

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鹿島

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