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産業の垣根を越える「グリーン物流」、物流共同化でCO2排出88%削減も


環境への負荷を減らす。生産性を向上させる。物流を持続可能にするため、荷主企業と物流事業者が連携した好事例を表彰する「グリーン物流優良事業者表彰」。令和3年度の経済産業大臣表彰を、ネスレ日本ほか5社が受賞しました。

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産業の垣根を超えて

 

関東圏の工場から新潟県の顧客まで、ペットボトル飲料をトラックで配送していたネスレ日本。そして、新潟県から全国向けに、米などの農産物を鉄道輸送していたJR貨物・全国通運・中越通運。この双方に鹿島臨海鉄道・鹿島臨海通運を加えた6社、産業の垣根を超えて物流を共同化することで、空回送していたコンテナを有効活用し、物流のムダを削減。トラックの台数が減り、88%のCO2排出削減を実現しました。

企業競争力を左右する物流

 

環境負担軽減は、物流が直面する喫緊の課題の1つ。貨物自動車からのCO2排出量が日本全体の排出量の6.8%(約7600万トン)を占める中、今後、上述のような効率化に加え、省エネや脱炭素エネルギーへの転換は避けて通れません。

物流を取り巻く環境変化は他にもあります。コロナ禍の巣ごもり需要で通信販売が拡大し、多品種・小ロットの宅配便が増えたため、トラックの積載効率が下がっています。また、少子高齢化などによるドライバー不足で、2030年には物流需要の約36%が運べなくなるという試算もあります。

こうした環境変化で物流コストが上昇する今、荷主企業にとっては、物流を単なるコストセンターとみなすのではなく、経営の中でどう戦略的に位置づけ、対応するかがますます重要になっています。

究極の物流効率化「フィジカルインターネット」

 

物流コスト上昇への対策の1つとして、経済産業省では、「フィジカルインターネット」というモデルの実現に向けて、国土交通省と共同で検討を進めています。

 

欧州で生まれたこのモデルでは、IoTやAI技術によって、運ぶべき物資の場所、倉庫や車両の空き情報などを見える化。その情報を企業の垣根を超えて共有すれば、どのトラックがどの倉庫で何の貨物を積み、どのルートで配送するか、データに基づく最適化で、貨物積載率を最大化できます。インターネット上で回線利用率を向上させるパケット通信の仕組みに類似していることから、「フィジカルインターネット」と名付けられました。

 

究極の物流効率化に向けて、物資を運ぶパレットの標準化など課題もありますが、今後、業界別のアクションプランやロードマップを策定していく予定です。

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