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ウクライナ情勢で供給懸念のLNG、日本企業の取扱量は増加続く

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、日本企業の液化天然ガス(LNG)取扱量に関する包括調査結果をまとめた。2020年度の取扱量は前年度比5・3%増の1億1020万トンとなった。第三国向けに供給される取引(外・外取引)が前年度比で約2割増えたのが要因。一方、国内向けの調達分は微減だった。

国はLNG市場で日本の影響力を維持するために、外・外取引への国内企業の関与を後押しする方針を示している。具体的にはLNGの流通に関わる上流・中流事業への参画の強化が必要とみており、こうした取り組みを通じて30年度に取扱量1億トンを確保する。

足元ではロシアのウクライナ侵攻に伴って、LNGの需給が逼迫(ひっぱく)しており、安定供給への懸念が広がっている。しかもカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けて、LNGに関連する開発投資に金融機関が慎重な姿勢のため、公的金融支援の必要性が高まっている。

JOGMECはLNGを取り扱う電力会社やガス会社、商社など30社を対象に、21年6月―8月に同調査を実施した。取扱量について、日本企業が売買契約により一時的にでも所有したLNGの数量と定義している。

日刊工業新聞 2022年4月25日

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