中国依存度を下げる、住友建機が調達シフトの狙い
住友建機は油圧ショベルの構成部品である鋳物について、日本国内やベトナムからの調達を拡大する。現状は中国の比率が3―4割とみられるが、可能な限り日越に置き換えて中国依存度を下げる。ロシアのウクライナ侵攻で世界的に政治的分断や地政学リスクが高まり「中国工場の閉鎖や取引停止など万一の可能性も頭に入れておく必要がある」(数見保暢社長)。今後、発売する建設機械の新商品もサプライチェーン(供給網)を再検討し複数調達化を進める。
住友建機は日本以外に、中国の唐山市とインドネシアに建機工場を持つ。生産能力はそれぞれ年3000台と2500台規模。米中対立で米国への輸出が事実上困難なことに加え、アジア地区のユーザーも中国製より日本製を好む事情もあり、中国工場は中国市場への販売と、鋳物や鉄鋼部品の安価な調達先として活用してきた。
ウクライナ情勢をめぐってはロシアを非難する欧米と、非難を控える中国などの国との分断が深まっており「どちらの陣営につくか、『踏み絵』を迫られるケースが企業でも増えると予想される」(数見社長)。そうした事態になっても影響が最小限で済むように、部品や部材の複数調達化を急ぐ。
鋳物は日本とベトナム以外に、タイなどでの調達も検討する。いずれの国も中国と比べると量産能力に乏しく、その分、個々の調達先を開拓して増やす必要がある。調達した鋳物は、日本以外にインドネシアの工場へも供給する方針だ。
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日刊工業新聞 2022年4月1日