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全固体リチウムイオン電池設計に一役、硫化物系電解質の力学物性評価法を構築

豊橋技術科学大学の松田厚範教授らは、全固体リチウムイオン電池用の硫化物系固体電解質の新しい力学物性評価法を構築した。複雑な加工なしに、押し込み硬さを示すマイヤ硬度や変形しにくさを表す弾性率などを求められる。同電解質は大気下で不安定で、また試験片の状態によるため、評価が困難だった。リチウムイオン輸送効率化などに向けた電池設計に役立つ。

荷重と押し込み深さの関係から計算だけで力学物性を評価するインデンテーション法を用い、試験装置にアルゴンガスを流入して不活性雰囲気で試験する。試験片に圧子を圧入、除荷し、理論式に基づき解析する。

試験時の圧入深さが従来は1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下だったが、新手法は数十マイクロメートルで評価するため、試験片の表面状態に依存しない。

新手法で硫化物系と酸化物系の固体電解質の力学物性をそれぞれ評価した。その結果、硫化物系固体電解質のマイヤ硬度は0・66ギガパスカル(ギガは10億)、弾性率は21ギガパスカルで、酸化物系固体電解質の同7・5ギガパスカル、200ギガパスカルより小さく、全固体電池材料として優れた機械的性質を持つことが分かった。

日刊工業新聞2022年3月28日

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