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ロボットハンド参入のブリヂストン、主力製品で培った技術生かす

ブリヂストンはロボット向けハンド(エンドエフェクター)に参入する。ゴムの人工筋肉を活用した“柔らかい”ロボットハンドで、つまむ、つかむ、包むといった動きが可能。ペットボトルや果物に加え、複数個の小物も一度に搬送できる。2023年まで実証実験を進め、次期中期経営計画(24―26年)での事業化を目指す。まずは物流業界のピッキング作業向けに市場を探る。

ゴムチューブや繊維を編み込んだスリーブ、金具を組み合わせたラバーアクチュエーターを複数活用し、新たにロボットハンドを試作した。油や空気を注入することでチューブなどが収縮し、硬化する仕組み。

ゴムチューブとスリーブの間に金属板を入れることで湾曲する。金具のカシメ加工により、高い圧力の媒体も保持する。ゴムの人工筋肉は、ブリヂストンの主力製品であるタイヤと油圧ホースで培った技術を応用した。

試作機ではラバーアクチュエーターを4本使用。同アクチュエーター自体は1本70グラム程度、ハンド全体としては1キログラム程度になる。可搬質量は今後顧客の使用状況や使用環境を見極め、改良を進める。同社の試験では数百グラムから5キログラム程度を搬送している。

既存のロボットハンドは機械式で物理的に把持するか、吸着式で吸い上げるかの2択。モーターなどを搭載するため部品点数も多く、定期的なメンテナンスも必要になる。

ブリヂストンの同ハンドはゴム素材で小型軽量。耐久性にも優れる。今後、顧客ニーズを探り、モノの動きや動きを支える「ソフトロボティクス事業」の立ち上げを目指す。


日刊工業新聞2022年3月8日

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