“第三の創業”実現へブリヂストンの「選択と集中」
ブリヂストンにとって2021年は創業90周年の節目の年であると同時に、3年間の中期事業計画のスタートにあたる。タイヤ事業とソリューション事業の価値提供を中心とした“第三の創業”を実現するため、これまでの多角化を見直し事業の「選択と集中」を加速させている。
多角化事業を除く売り上げの8割を占めるタイヤ事業は、低インチ製品の汎用化が進行しており収益性の低下が課題。タイヤ各社は製品の高付加価値化と、センシングなどを駆使したソリューションビジネスの拡大に力を注いでいる。
ブリヂストンはタイヤの空気圧などをリアルタイムで顧客に知らせる「タイヤマティクス」といった独自のソリューションを持つ。また、運送業向けの車両管理ソリューションを手がける蘭トムトムテレマティクス(現ウェブフリート・ソリューションズ)、鉱山車両用タイヤの管理ソリューションを提供する豪州オトラコ・インターナショナルなどを買収。データ活用のプラットフォーム(基盤)を強化した。
北米では、年内のM&A(合併・買収)実施も視野に入れた検討が進む。ウェブフリート・ソリューションズの知見や技術を生かせる機会を探している。
「強い市場で強いソリューションビジネスを展開する」(石橋秀一グローバル最高経営責任者〈CEO〉)ことで、持続的に成長できるビジネスモデルの構築を急ぐ。北米で運送業向けソリューションの提供体制が整えば、強みを持つトラック・バス用タイヤの採用増加やリトレッド事業の拡大が期待できる。
中核事業を拡大・利益を上げることで成長事業への投資を増やし、両事業の価値を継続して向上させていく。一方で、21年に入り、主力事業とのシナジー(相乗効果)が薄い多角化事業を相次いで整理する。自動車用防振ゴムなどの事業会社3社の譲渡・清算を3月に発表。建材事業の米ファイアストン・ビルディング・プロダクツなど2社の売却も決めた。
23年には全拠点数を19年比約4割減とする方針を掲げており、今後も事業構造を見直していく。