富士フイルムが解明。急速な湿度変化で肌が荒れる要因
富士フイルムは、急速な湿度変化の刺激で肌が荒れる一因を解明した。湿度を制御する独自開発の装置を活用。肌のバリアー機能に寄与し、水分蒸発を防ぐ脂質の産生に重要な役割を持つ酵素が減少することを見いだした。同時にチャ葉エキスに同酵素発現を促す効果があることを確認した同社は、研究成果を化粧品開発に生かす。
表皮を模したモデル培地の一部だけに湿度を制御した空気を送るように開発した装置を活用した。相対湿度を90%から30%に急速変化させて比べると、水分量は31%、バリアー機能の指標は86%それぞれ低下していた。
表皮最上層の角層を構成する脂質の一つであるセラミドを整列させて肌のバリアー機能には欠かせないアシルセラミドを産出する酵素「ELOVL4」の発現は69%減っていた。
一方、酸化防止効果で知られるウーロン茶由来のチャ葉エキスを添加すると、同酵素の発現が増す効果があることを実証した。
これまでの表皮モデルは培地全体を蒸発から守るための厳密な湿度制御が難しく、マスク着脱などによる急激な湿度の差が肌荒れの要因になる仕組みを解明できていなかった。
日刊工業新聞2022年1月13日