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特許件数トップクラスの三菱電機、技術資産開示を強化するAI活用で一手

三菱電機は保有する知的財産の膨大な特許情報を調べやすくする人工知能(AI)検索エンジンを2022年春めどに開発する。編集した6万件の技術資産データベースを社内向けに公開し、従業員の評価や意見を吸い上げて使い勝手の良い検索エンジンをつくる。来春以降に始める社外向け検索サービスへの適用も検討する。近年非財務情報の開示が大企業中心に強く求められており、質の高い技術情報の開示で社外との対話や連携を促す。

三菱電機は21年10月から社内向けに知財6万件の技術資産データベースの検索サービスを始めた。ただ、通常の検索エンジンだと、各特許情報に記載された文言しか引っかからない。「脱炭素」や「新常態」などの比較的新しいキーワードでは検索できず、使い勝手が悪くて利用率が下がってしまう恐れがある。

そこで、社内利用を通じてAIに学習させることで、簡単な文章や単語を打ち込むだけで関連する技術情報を幅広く調べられるように検索精度を上げる。AI検索エンジンが一度完成すれば、社内にある他のデータベースに転用でき、現在注力している社内デジタル変革(DX)にも役立ちそうだ。

三菱電機は国内の特許・意匠登録件数が常にトップクラスで、国際出願ランキングでも世界の上位にいる。保有する豊富な技術資産を活用して社内外の連携を加速する「オープンテクノロジーバンク」活動を10月に開始した。

データベース編集・公開もその一環だ。今後は社内で縦割り意識が残る事業本部間の技術連携を促進するとともに、社外とのオープンイノベーションを強化して新規事業創出につなげる。

また、出願件数などの量だけを追うのではなく、知財の質的向上も目指す。ソリューションやAI関連の特許出願を重点的に増やし、DX時代に大きく成長できる事業基盤を構築する。


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日刊工業新聞2021年11月22日

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