【動画あり】高圧水素で船舶運航、ヤンマーが燃料電池システムを23年に市場投入

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舶用水素燃料電池システムを搭載した実証試験艇(大阪北港マリーナ)

ヤンマーホールディングス(HD)は13日、グループのヤンマーパワーテクノロジー(YPT、大阪市北区)が70メガパスカルの高圧水素を充填した舶用燃料電池システムを載せた実証試験艇による海上での航行試験に成功したと発表した。従来の充填方式と比べて航続時間は3倍以上を達成。船のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向け2023年に同システムの市場投入を目指す考えだ。(編集委員・林武志)

ヨットが並ぶ大阪北港マリーナ(大阪市此花区)の桟橋にヤンマーのコーポレートカラー、赤色に彩られた試験艇が入港した。70メガパスカルの高圧水素を充填した同艇は実証航行で安全性を確認。遊覧船並みの10ノット(時速約18・5キロメートル)程度で約3時間の航行を実現した。

舶用ではタンクの安全面などを踏まえ15メガ―35メガパスカルの水素使用が中心。ただ「燃料電池車(FCV)では70メガパスカルが主流になる」(広瀬勝YPT取締役特機事業部長)ため船舶でも商用化をにらみ、許可を得た高圧充填設備を用いたという。

ヤンマーはトヨタ自動車のFCV「MIRAI(ミライ)」用の燃料電池と高圧水素タンクを使用し、開発に取り組む。水素タンク8本を載せた艇の最高出力は184キロワットで二酸化炭素(CO2)を排出しない。23年に出力300キロワット級の舶用水素燃料電池システムの市場投入を目指す。

船舶は出力と航続距離による船種別で脱炭素対応は異なる。航続距離の短い出力1万キロワット未満の船舶燃料は水素への移行が見込まれる。課題について、YPTシステムエンジニアリング部の平岩琢也氏は「燃料電池を入れただけで船が動くわけではない。付随する制御系などを一括して開発する必要がある」と説明する。今後は30年に水素燃料電池、水素エンジン、これらを複合化した水素パワーソースシステムを商品化する道筋を描く。

ヤンマーは事業セグメントを農業機械などの産業用機械と、今回の水素関連で位置付ける内燃機関および関連機器に分類している。事業規模の数値目標は掲げていないが、脱炭素に寄与するソリューション開発の加速で40%強の事業売上高比率(21年3月期)が押し上がる可能性もある。

一方、ヤンマーの地域別売上高は日本が約50%。舶用の水素関連製品の海外向けは「欧州が有望市場」(広瀬取締役)とみる。今後の成長をにらむとグローバル攻略が不可欠なだけに、舶用水素インフラの早期商用化実現もカギを握りそうだ。

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