皮膚に装着し生体情報を取得!東大が超薄型・軽量の電極開発
東京大学大学院工学系研究科の染谷隆夫教授らの研究チームは、超薄型・軽量の皮膚貼り付け電極を開発した。厚さ170ナノメートル(ナノは10億分の1)以下、重さ約0・24ミリグラムを実現した。開発した皮膚貼り付け電極を用いて心電図を1週間計測することができた。長期にわたって生体情報を取得できるため、病気や体調不良を早期発見するためのウエアラブルデバ イスとしての応用が期待される。
研究チームは厚さ100ナノメートル以下で伸縮性のあるナノシート上に薄膜金を蒸着して電極を形成したが、それでも全体の厚さを170ナノメートル以下に抑えた。ポリウレタン製のナノファイバーでナノシートを補強することで耐久性を高めた。従来は超薄型で伸縮性と耐久性を両立することは難しく、皮膚に長期間貼り付けて心電図を計測できるナノサイズの厚さの電極がなかった。
ナノシートはナノファイバーで補強したことで、ナノシート自体の重さの7万9000倍以上の重さがある液体を支えられた。また、ナノシートを40%伸長させる作業を1000回繰り返しても高い耐久性を示した。
水蒸気透過性は1日につき1平方メートル当たり14・6キログラム。皮膚に貼り付けても通常の皮膚呼吸が可能で、汗による炎症反応やムレを起こしにくい。ナノシートは、のりや粘着性ゲルなどの粘着剤を用いずに物理的な力だけで皮膚に貼り付けられるため、装着時の皮膚への負荷が低減できる。
皮膚貼り付け電極をヒトの腕と足に貼り付けて計測したところ、1週間にわたって高精度の信号を計測できることを確認した。
日刊工業新聞2021年9月7日