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電子がうねりを作る!?理研と東大が未知の力の存在を解明

理化学研究所の下志万貴博研究員と東京大学の辛埴(しん・しぎ)特別教授らは、鉄系超伝導体の電子の空間分布をナノメートル(ナノは10億分の1)の精度で計測し、電子がうねりを作ることを発見した。観測にレーザー光電子顕微鏡法という技術を用いた。既存の物性理論では説明できない未知の力の存在を示唆しているという。

真空紫外レーザーを鉄系超伝導体に照射し、真空中に飛び出す電子の数を計測して空間分布を観察する。バリウム鉄ヒ素ポロニウム化合物と鉄セレン化合物を計測すると、波長500ナノメートルの波状のうねりが存在することを発見した。

観測されたうねりは結晶格子が作る構造パターンよりも100倍大きい。従来、電子の空間パターンは結晶格子と同調して変化すると考えられてきた。未知の力が働いている可能性があり、新しい物性理論が必要だとしている。

成果は米科学誌「サイエンス」に掲載された。

日刊工業新聞2021年9月3日

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